#1 パフォーマンスは朝と夕方で変動する
スポーツやトレーニングのパフォーマンスを効率的に上げ、今よりも高いレベルに行くにはどうすべきか。本シリーズではスポーツやトレーニングの理解を深めることで、パフォーマンスの向上に貢献するであろう海外研究をかみ砕いて紹介していく。
普段の練習の成果が試合で発揮できなかったという経験はあるだろうか。様々な要因が複雑に絡んでいることも考えられるが、その一つとして「パフォーマンスの日内変動」を知ることで、ある程度の対策と改善ができる可能性がある。
普段の練習の成果が試合で発揮できなかったという経験はあるだろうか。様々な要因が複雑に絡んでいることも考えられるが、その一つとして「パフォーマンスの日内変動」を知ることで、ある程度の対策と改善ができる可能性がある。
パフォーマンスは朝に低く夕方に高い
無酸素運動のパフォーマンスは朝に比べて夕方に有意に大きくなることで知られている。自走式のランニングマシンを使い、複数回に分けて朝と夕方の異なる時間帯で全力疾走時のパフォーマンスを計測した研究(※1)によると、走行距離、ピークパワー、平均パワー、ピーク速度、平均速度など、いずれにおいても総合的なパフォーマンスは朝よりも夕方に高い値を示す結果となった。
このパフォーマンスの日内変動はモチベーションや末梢および中枢の神経的な要因に加えて、夕方に観察される体温や筋温の上昇が影響していると考えられているが具体的な要因はわかっていない。これらの特性を現場レベルで考えた場合、直近の食事による栄養的な要因、睡眠時間や質、精神的な要因も影響してくるだろう。
この研究結果は「朝よりも夕方のパフォーマンスが高くなる」ことを示している。しかし裏を返せば、「夕方以外はベストパフォーマンスを出しにくい」ことを意味している。極端に言えば、夕方の練習で良い記録が出たとしても、試合が朝の時間帯だとベストパフォーマンスに及びにくいことが考えられる。
まとめ:広い視点で調節を
朝や昼に試合が始まることもあるため、日内変動があることを踏まえて時間を調整して朝の練習に慣れておくことや、運動だけでなく栄養、睡眠、精神的な要因など自信を取り巻く環境を広い視点で整え、長期的かつ平均的に安定してパフォーマンスを上げていくことも良い戦略となるだろう。※1:Is there a diurnal variation in repeated sprint ability on a non-motorised treadmill?
Samuel A Pullinger 1, Emma L Brocklehurst, Reece P Iveson, Jatin G Burniston, Dominic A Doran, James M Waterhouse, Ben J Edwards
PMID: 24328815 DOI: 10.3109/07420528.2013.865643