懸垂を効果的に行うためのポイントとバリエーション
どこかぶら下がることができる器具や場所が必要になりますが、懸垂は背中の筋肉を鍛える上で非常に便利な種目です。しかし多くの場合、最初は自体重を持ち上げるのが難しい状態です。本稿では懸垂を段階的に、安全かつ効果的に行うためのポイントとバリエーションを紹介致します。
斜めの懸垂
ななめ懸垂
通常の懸垂にように自体重全てを垂直に持ち上げるのが難しい場合には、斜めの角度で行う懸垂を推奨します。斜めの懸垂はインバーテッドローとも呼ばれ、バーの高さや足の高さを変えることで負荷を変更することができる便利な種目です。
通常の懸垂では完全に体が浮くため体勢が不安定になりフォームを習得することが難しいことがありますが、斜めの懸垂は足が地面についており負荷も調節しやすいため、筋力強化だけでなくフォームの習得や背中の筋肉を使って引く感覚を習得する事などに有効です。
フォームに関しては身体を一直線に保ち、背中を反らせてバーがみぞおち付近に来るように引き付けて行います。腕の筋肉はあくまで補助的に働くだけに留め、背中の筋肉を使って体を持ち上げる感覚を習得することが重要です。
通常の懸垂では完全に体が浮くため体勢が不安定になりフォームを習得することが難しいことがありますが、斜めの懸垂は足が地面についており負荷も調節しやすいため、筋力強化だけでなくフォームの習得や背中の筋肉を使って引く感覚を習得する事などに有効です。
フォームに関しては身体を一直線に保ち、背中を反らせてバーがみぞおち付近に来るように引き付けて行います。腕の筋肉はあくまで補助的に働くだけに留め、背中の筋肉を使って体を持ち上げる感覚を習得することが重要です。
通常の懸垂
斜め懸垂が簡単に行えるようになってきたり、既に自体重の懸垂が可能な場合は垂直に体を持ち上げる通常の懸垂を行いながらフォームを整えていきます。懸垂
背中の筋肉である広背筋は背骨を反らし、肩甲骨を内側に加えて下方へと寄せる働きがあります。そのため懸垂を行うときには背骨を反らし、肩甲骨を内側下方へ寄せる方向に動かすことができると大変的確かつ効率の良い動作となります。肩がすくんでしまうと広背筋の筋肉の収縮がかかりにくくなってしまうため、肩がすくまないように広背筋をしっかり収縮させて動作を行い、広背筋に強いストレッチをかけるために負荷を抜かないようにしつつもしっかりと身体を降ろしていきましょう。
懸垂NG
先述の通り、広背筋は背骨を反らし、肩甲骨を内側下方へ寄せる働きがあります。
そのため身体を持ち上げたと時に背中が丸くなってしまうと広背筋が収縮しにくく、刺激が入りにくい非効率な動きとなってしまいます。
正しくフォームをつくることは効率的な動きを習得するという目的があります。懸垂は強度の高い種目ですが、正確かつ効率的なフォームを身につけてトレーニングを行っていくことをおススメ致します。
そのため身体を持ち上げたと時に背中が丸くなってしまうと広背筋が収縮しにくく、刺激が入りにくい非効率な動きとなってしまいます。
正しくフォームをつくることは効率的な動きを習得するという目的があります。懸垂は強度の高い種目ですが、正確かつ効率的なフォームを身につけてトレーニングを行っていくことをおススメ致します。
懸垂時の握り方について
さて、斜め懸垂や通常の懸垂を行う上でシャフトをどう握るべきか迷う場合があると思います。懸垂時の握り方には順手、逆手、ニュートラルの三種類がありますのでそれぞれの特性をご紹介していきます。懸垂全体 順手
順手は腕の筋肉である上腕二頭筋が使われにくく、広背筋が関与する割合が増えます。
腕を使いにくい分全体的な力の出力は落ちてしまう傾向にありますが、懸垂をするときに腕の筋肉を使ってしまいやすい場合におススメです。なお、親指の位置に関しては巻き付けるように握るサムアラウンドグリップでも、巻き付けずに4指と同じ側に添えるサムレスグリップのどちらでもやりやすい方で行っていきましょう。
腕を使いにくい分全体的な力の出力は落ちてしまう傾向にありますが、懸垂をするときに腕の筋肉を使ってしまいやすい場合におススメです。なお、親指の位置に関しては巻き付けるように握るサムアラウンドグリップでも、巻き付けずに4指と同じ側に添えるサムレスグリップのどちらでもやりやすい方で行っていきましょう。
懸垂全体 逆手
逆手は腕の筋肉である上腕二頭筋が使われやすく、腕の筋肉が関与する割合が増えます。
背中に加えて腕の筋肉を使うことができる分全体的な力の出力は高くなる傾向にありますが、腕にばかり刺激が入ってしまったり背中に対して刺激が弱くなってしまう場合には他の握り方がおススメです。また、手首や前腕の可動域が狭い場合には握りにくくなりますので注意が必要ですが、筋に異なる刺激を入れるためのバリエーションとして活用できる種目です。
最後に、順手と逆手の中間位となる「ニュートラルグリップ」という縦の握り方もあります。
ニュートラルグリップは腕の筋肉も多少動員されますが、前腕や手首のストレスが少なく最も引きやすい握りとなります。鉄棒のように横一本の棒で行うことは難しいため、パワーラック上部のアタッチメントなど、種目を行うことができる場所や環境を見つける必要があります。
背中に加えて腕の筋肉を使うことができる分全体的な力の出力は高くなる傾向にありますが、腕にばかり刺激が入ってしまったり背中に対して刺激が弱くなってしまう場合には他の握り方がおススメです。また、手首や前腕の可動域が狭い場合には握りにくくなりますので注意が必要ですが、筋に異なる刺激を入れるためのバリエーションとして活用できる種目です。
最後に、順手と逆手の中間位となる「ニュートラルグリップ」という縦の握り方もあります。
ニュートラルグリップは腕の筋肉も多少動員されますが、前腕や手首のストレスが少なく最も引きやすい握りとなります。鉄棒のように横一本の棒で行うことは難しいため、パワーラック上部のアタッチメントなど、種目を行うことができる場所や環境を見つける必要があります。
補助種目「ネガティブ懸垂」
筋肉は収縮する「ポジティブ」の局面と、収縮した状態で伸ばされる「ネガティブ」の局面に分かれます。背中に限らず筋の発達を考えた場合には、筋肉が収縮した状態で伸ばされるネガティブな状態が最も適しています。イメージとして、腕相撲で力を入れて押し合っているも負けてしまっている状態です。筋肉はポジティブに収縮するときよりも、収縮しながら伸ばされるネガティブな収縮の時の方がより高い力を出すことができます。
これを懸垂にあてはめると、体を持ち上げる局面はポジティブ、ゆっくりと降ろす局面はネガティブになります。この特性を応用した補助的な種目として「ネガティブ懸垂」という種目をご紹介します。
ネガティブ懸垂
通常の懸垂を続け、持ち上げられなくなった際に足を使ってジャンプするように懸垂の最上部まで体を押し上げ、ゆっくりと下降する動作を数回繰り返します。
先述のようにポジティブ局面よりもネガティブな局面のほうが高い力が出るため、もう上がらなくなってからもまだ数回ほどこなすことができます。
もちろん毎回必ず行う必要はなく、ネガティブ懸垂に頼り切るよりはポジティブ局面での通常の懸垂をしっかりとやり込むことの方が重要になりますが、バリエーションの一つとして取り入れたり、斜め懸垂は楽にできるようになってから通常の懸垂へ移行する際などに有用な種目です。
先述のようにポジティブ局面よりもネガティブな局面のほうが高い力が出るため、もう上がらなくなってからもまだ数回ほどこなすことができます。
もちろん毎回必ず行う必要はなく、ネガティブ懸垂に頼り切るよりはポジティブ局面での通常の懸垂をしっかりとやり込むことの方が重要になりますが、バリエーションの一つとして取り入れたり、斜め懸垂は楽にできるようになってから通常の懸垂へ移行する際などに有用な種目です。
まとめ
背中の種目は意識やコントロールが難しいものが多いですが、スポーツのパフォーマンスを上げたり、姿勢を改善したり、体づくりをする上で欠かすことができません。まずは軽い負荷でしっかりとコントロールを習得して、各々の目的に合わせてトレーニングを進めて頂ければと思います。