ランジ&スプリット種目を安全かつ効果的に行うためのポイントとバリエーション

ランジ
自体重で行うことができる足のトレーニングはスクワットだけではなく、足を前後に開いた状態で行うランジ系種目やジャンプ系の動作を入れた種目など、組み合わせ次第で多くのバリエーションがあります。

これらもスクワットと同様、実施者の体力や状況に合わせて自体重で行うことも、重りを持って負荷を増やすこともできる非常に便利な種目です。基本となる自体重での動きを習得すれば、体が負荷に適応して負荷を増やす際にもすぐに応用が効きます。

これらの種目はスクワットよりも動作が速く、足を前後に開くことで筋力に加えて高いバランス能力が必要になりますが、効率よく安全に行っていくためのポイントや注意点がありますのでまとめてご紹介致します。

バックランジ

バックランジ
まずはバックランジ。片足をゆっくりと後ろへ出して立ち上がる動きです。動作自体は非常に単純ですが非常に奥が深く、目的に合わせて様々なバリエーションがあります。動画では前足へ負荷をかけることを狙い、重心を常に前足に乗せて動作やバランスが終始コントロールしやすいやり方でやっています。

後ろに出す足の膝が地面に触れるギリギリのところまで下げられると一回の動作範囲が大きくなり、足の筋肉に対してストレッチがかかった状態から収縮させることができて大変効率的です。

スクワットは体重が両足に分散されますが、バックランジは前足に体重の多くがかかるため自体重だけでも強い負荷となります。
また、動作の終始を通じて負荷を抜かないようにゆっくりと動く事も重要です。

フロントランジ

フロントランジ
フロントランジは前方へ出した足に負荷をかける種目です。
体に前方への勢いがつくため着地時に瞬間的な負荷が増える点でバックランジとは大きく異なり、ボディメイク目的というよりは競技の動作においてブレーキや減速動作の習得として取り入れられることも多くあります。
加減速の多いフロントランジと、持続的に負荷がかかり続けるバックランジはそれぞれの特性があり刺激も大きく異なりますので目的に合わせて使い分けることが重要です。

スプリットスクワットジャンプ(弱)

スプリットスクワットジャンプ弱
足を前後に分けた状態から上方にジャンプする種目です。
重心は常に体の真下にあるため、前後の足に対してそれぞれ同時に刺激を入れることができます。
この種目に関してもバックランジと同様に後ろ足の膝が地面につくギリギリまで下げてから上方へ跳びます。
前後の足を入れ替える間に両足を揃えてなわとびのように一度軽く跳ねることで着地の負荷を効率的に分散できます。まずはフォームやテンポの確認も兼ねてスプリットスクワットジャンプ(弱)から始めてみることをおススメします。なお、スプリット(split)は分ける、分割するといった意味があります。

スプリットスクワットジャンプ強
動きはスプリットスクワットジャンプ(弱)と同様ですが、両足を揃えて着地する局面がありません。高さに比例して高い筋出力が必要になり、それに伴って着地時の負荷も増えることになるため、格段に強度の高い種目になります。跳躍する高さや、腕を振ることである程度の範囲内で強度の調整も可能になります。

こういった動きの速いスプリットジャンプ系の種目は筋力に加えて高いバランス能力も必要となり、膝のブレなども起きやすくなります。
そのため、まずは通常のスクワットやバックランジなどである程度の感覚やフォームを掴んでからジャンプ系種目を取り入れていくと効率的です。通常のランジやスクワットではフォームも問題なく行えたとしても、素早いジャンプ系の種目では新たな課題が見つかることがあります。

まとめ

今回ご紹介したような左右非対称の種目は両足の種目に比べると高く強い力を出す事には向いていません。その代わりに腰部への負担が軽減されたり片足での力発揮能力が向上するなど、左右非対称の体勢でこそ得られる効果も多くあります。

また、一般的なトレーニングにおいてはゆっくりと動かすことが重要視されていますが、筋肉に加わる刺激の種類やスポーツ競技での動作を考えると、速さを入れることで負荷を増した種目を取り入れることで得られる効果もあります。
しかし速さを入れた種目を行う場合にはいきなり取り組むのではなく、最初はゆっくりとした動きから始めて十分にフォームが固まってから応用種目へと進まれることをおススメ致します。

自体重の種目でも負荷や速さ、刺激を工夫することで多くのバリエーションで実施することが可能になります。ぜひ、トレーニングの際に本稿がご参考になれば幸いです。


関口 貴久
コラム記事著者
関口 貴久
トレーナー、柔道整復師。
競技パフォーマンス向上のためのトレーニングや傷害予防、またそれらに関する記事の執筆を専門とする。
整形外科、医系学校教員助手、スポーツ系専門学校講師等を経験。日本国際テコンドー協会にて埼玉近郊の大会医療を担当。