医療栄養学科 スポーツ栄養コラム 第11回

ペプチドのチカラ

君羅が担当する第11回スポーツ栄養コラムは【ペプチドのチカラ】についてお話します。

前回の君羅が担当したコラムでは、スポーツをするときに意識的にアミノ酸を摂取した方が良い理由についてお伝えしました。今回は、アミノ酸が2つ以上繋がった形の「ペプチド」の必要性についてお伝えしていきます。

アミノ酸供給源としての役割

食品含まれるたんぱく質は、体の中で消化され「ペプチド」→「アミノ酸」と小さく分解されて身体に吸収されます。ペプチドは、アミノ酸が数個連なったもので、たんぱく質よりも小さく、素早くアミノ酸まで分解されるため、ペプチドとして摂取することでBCAAなどの目的のアミノ酸を素早く体に取り込むことが可能です。

大豆たんぱく質と大豆ペプチドの摂取による筋肉損傷の軽減効果を比較した研究では、大豆ペプチドの筋損傷抑制効果は、大豆たんぱく質を摂取した場合よりも高い効果を示したと報告されています。これには、大豆ペプチドの吸収の速さが関係していると考察されています(1)。 このようにペプチドはその吸収性の速さから、たんぱく質に比べて運動時の効果が発揮されやすいという利点があると考えられます。
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ペプチドとしての効果

ペプチドにはアミノ酸として早く吸収されるという利点以外にも、「ペプチド」としてそれ自体が筋肉などの組織に働きかけることも近年分かってきました。

カツオやマグロといった回遊魚、渡り鳥の筋肉に含まれるイミダゾールジペプチドは、摂取することで運動パフォーマンスの向上(2)、身体作業負荷による疲労の軽減(3)などが報告されています。

また、動物の骨や皮に多く含まれるコラーゲンから作られるコラーゲンペプチドは、アミノ酸にまで分解されずにペプチドのまま体に吸収され、様々な作用をもたらすことが近年報告されています(4)。

城西大学薬学部医療栄養学科では、城西大学男子駅伝部との共同研究から、コラーゲンペプチドの摂取が膝の痛みを軽減もしくは予防し、筋肉の分解を抑制することを報告しています(5)。
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このようにペプチドを摂取は、アミノ酸の供給源としてだけでなく、ペプチド自体が運動時効果をもたらすことが分かってきています。

皆さんもペプチドのチカラをよく知った上で運動時にペプチドを効果的に補給してみましょう。

参考文献)
(1) Masuda K. et al., Effect of soy-peptide intake on exercise-induced muscle damage. Jpn. J. Clin. Sports Med., 15, 228-235 (2007).
(2) 鈴木康弘ら. トリ胸肉抽出物(CBEXTM) の経口摂取が高強度間欠的運動パフォーマンスに及ぼす影響.体育学研究., 49, 159–169 (2004)
(3) 田中雅彰ら.CBEX-Dr 配合飲料の健常者における抗疲労効果.薬理と治療. 36, 199–212 (2008)
(4)  Iwai K. et al., Identification of Food-Derived Collagen Peptides in Human Blood after Oral Ingestion of Gelatin Hydrolysates, J. Agric. Food Chem. 53, 6531-6536 (2005)
(5) Kimira Y. et al., The effects of collagen peptide supplementation on knee joint health: a double-blind, placebo-controlled, randomized trial in healthy university students belonging to a running club, Jpn Pharmacol Ther. 47, 1455-1462 (2019)

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君羅 好史
今回の執筆者
君羅 好史 助教(食品機能学研究室)