#スポーツを止めるな2020
硬式野球部編
活動再開したチームの今後、活動自粛期間を経たチームの現状について村上監督に伺いました。
村上 文敏 監督『学生たちがしっかりとした社会人になる、その武器として野球がある』
Q.活動自粛期間のことについて
A.昨年から建設的に強化し、春のシーズン、新入生も戦力として考えるために2月に全員入寮してもらい、新入生も含めて非常に良い春のキャンプを行えた。
3月にキャンプから戻ったが、予定していたオープン戦が次々に中止になり、これから一気にチームが上向いてくるであろう時期にコロナ。社会情勢に合わせ積極的に帰省を促した。
ほぼ全員が帰省する中、規則正しい生活を送る為、毎朝の検温・体調チェックを行った。指定の時間までに行い、マネージャーが集計し報告する。そういった基本的なことを、全選手・スタッフが6月までの2か月間隙間なくやりきってくれた。また、モチベーションが下がらないように、指導陣で個々にウェブ雑談をできる限り行った。そして体調不良者が1人も出なかった。体調不良者が出なかったことも重要だが、苦しい時期にチームとして基本的なことを一丸となってやりきることができたことが非常に良かったと思う。基本的なところを全員がしっかりやれたことでチームがより一層まとまったと感じている。
Q.6月に部活動が再開になってからの活動について
A.一度に全員を戻さず、まずは4年生から戻し、生活や自主トレ等を行う際にコロナ禍を正しく活動できることを徹底して行った。それができたら3年生を、3年生ができたら2年生を、2年生ができたら…という形で活動を再開していった。残念ながら1年生はまだ戻って来てないが、身体の準備ができた選手から全体練習を再開している。
Q.今後の試合予定について
A.秋のリーグ戦は9月5日から開幕予定。そして8月中は多くのオープン戦を予定している。
結果はもちろん欲しいが、無理やり選手たちを試合に合わせていくのではなく、まずは戻ってきた選手は自主トレから初めて、身体がある程度できてから全体練習を行い、準備が間に合った選手から試合へ出ていくようにしている。
Q.オープン戦の対戦校について
A.六大学リーグ(慶應、早稲田、東京、立教など)、東都大学リーグ(亜細亜、駒澤、中央、東洋など)の強豪大学とのオープン戦が予定されている。
そういった強豪チームが、新しくなった城西のホームグラウンドへも来る。それが選手たちの現在のモチベーションになっている。
Q.3月に完成した全面人工芝グラウンドについて
A.選手たちのモチベーション向上、練習のしやすさ、周りへのアピール等、1石何丁にもなり得るものを作ってもらった。「大学が応援してくれている」ということを感じながらやれるということも大きい。選手たちにとっては何事にも代えがたいモチベーションになっている。
Q.昨年から就任されての取り組みについて
A.野球の技術的なことよりも、やらなければいけないことをやるということに重点を置いている。学生たちがしっかりとした社会人になる。その武器として野球、授業、寮生活がある。大学生になったからといって高校までやってきたことをないがしろにせず、更に深堀りしていくことが大事。まずは学生にとって基本的なことを徹底的に行い、しっかりとした集団になる、それが根底にあっての野球だと思う。
本当に強いチームは周りから見たらすぐわかる。チームとして「城西っていいよな」「これから強くなるぞ」と思われるようなチームをつくりたい。強いチームの選手は、監督・コーチの評価は勿論だがチームメイトの評価が高い。チームメイトからの支持を得るという事は、常日頃の自分を知っている人間から認められているという事で、基本を大切にし、見えないところで努力をしている人間だという事である。
そういう人間が集まった組織は強い。選手がそれぞれの局面で勝てる空気を創っていくのである。
Q.今年の目標について
A.数字をいえば絶対に1部に復帰。ただ、一番は人としての力を培うこと。
最後のシーズンを迎えた4年生たちはこのコロナ禍で春季リーグ戦が無くなってしまったにも関わらず、しっかり切り替えてくれて秋季リーグ戦において「1部を3年生以下に残すんだ」と言ってくれている。たとえ野球の結果は残せなかったとしても自分の力を出し切り、野球部としての活動の中で人間力が付いたと自信を持って社会へ出て行ってもらえれば、それが一番だと思う。
主将としてチームをけん引する捧主将にチームの現状と抱負を伺いました。
捧 颯人 主将(4年)『私生活・プレーで下級生を引っ張る。自分たちの想いを後輩に託す』
Q.活動自粛期間を経て個人の想いとチームの雰囲気について
A.久々に野球ができてみんな嬉しかった。自分たちは野球が好きで、今まで野球ができていたことは当たり前じゃなかったと明確に実感した。秋季リーグ戦が終わったら自分は引退だが、悔いを残さないよう取り組み、これまでやってきたことを改めて継続して最後までやり切りたい。長期間自粛期間があっても、チームの雰囲気は良く、モチベーション高くできている。4年生達が特に協力的で、サポートしながら野球に真摯に向き合ってくれているのが下級生にもいい影響を与えている。
Q.自粛期間中の取り組みについて
A.緊急事態宣言が出る前の3月から活動を中止し、地元に帰省していた。その間、トレーナーより、在宅でも可能な筋力トレーニングのメニューを出してもらって実施していた。その他、近隣に十分配慮をしながら可能な範囲でランニング、キャッチボール、体幹トレーニングなどを各自に任せる形で実施していた。現在は3.4年生が主体だが、再開直後も全員体つきが良く、プレーの細かな動きも変わらないので、自粛期間で自主的にやれることをしっかりやっていたのだと感じている。
Q.秋に向けてのチームの目標、それに向けた取り組みについて
A.チームとしては春のリーグ戦2部で優勝、1部に昇格することを目標に4年間やってきた。この目標を達成するために自分たちはなにをすべきか、4年生中心に考えてきた。自分たちが入学する前の年に2部に降格し、3年間やってきて、今年の春こそはと思っていたところで、コロナウイルスが起きた。リーグ戦は中止になり、もう自分たちが1部でプレーできることはなくなってしまった。
自分たちにできることは、3年生以下に4年生の想いを託すこと。私生活では当たり前のことをきちんとこなし、かつプレーで下級生を引っ張る。これを継続し続け、いい影響を与えられるようになりたい。自分たちがいなくなっても1部を目指し続け、いずれ叶えてほしい。
監督が変わって2年、それまでは野球しかやっておらず、ほかに目を向けなかった自分たちだった。野球をやっているだけでは勝てないんだ、日々の生活をきちんとやった土台の上に野球が積み重なってくることを教えてくれた。これを監督に言われてやるのではなく、自分たちが気づいて発信していくことが、目標を達成するための大きな取り組みとなっている。
強い信頼をこの4年間で築き上げてきたバッテリー、唐沢投手と岡島捕手。2人のバッテリーに最後のシーズンに向けて目標を伺いました。
唐沢 裕貴 投手(4年)『私生活の改善で野球の取り組みが変わってきた』
Q.自粛期間中の取り組みについて
A.実家に帰省していた為、埼玉にいるよりできることは限られていたが、在宅トレーニングを全員で行うことを中心に、実家にいる兄が積極的にキャッチボールを手伝ってくれたことで、体を動かすことを継続できていた。
Q.今後の目標、それに対する取り組みについて
A.1部昇格が大きな目標だったが春リーグがコロナで中止になってしまった。1部でプレーすることは下級生達に託したい。秋リーグに向けて、技術を磨きたいが、短期的にできるものではない。身近にできるものとして、グランド外のことにフォーカスすること。主に寮生活に目を向け、きちんとやっていくことは、野球をすることに直接的につながっていくことを監督が教えてくれた。監督が変わってから私生活を徹底してくれているおかげで、部員の野球に対する取り組みが変わった実感がある。
岡島 颯 捕手(4年)『自粛期間中のインプットが、再開を経てアウトプットできている』
Q.自粛期間中の取り組みについて
A.体の仕組みや栄養のことなど、細かな部分を自主的に勉強していた。野球ができなくなったこの期間でなにか1つ、自分の野球に役立つプラスの知識を得たいという強い想いがあった。活動が再開したらトレーニングが中心になるので、勉強する時間はなくなってしまう。具体的には体の使い方。普段であればみっちりトレーニングをやったら、その日に自分のプレーを振り返る時間はないが、自粛期間中は、その日の練習内容を内省する時間が取れたので、細かく考えながらトレーニングできたのが非常に良かった。
Q.今後の目標、それに対する取り組み
A.4年生が1部でプレーできることはなくなったが、秋期リーグ戦で2部優勝を目指す。9月からのリーグ戦では4年生、3年生が主体になり、1.2年生をカバーしながらチーム全体を高められる雰囲気を作りたい。グランド外の基本的なことを徹底したうえで、野球することを前提とし、グランド外で評価される人間になりたい。特に取り組んでいるのは挨拶。基本ではあるが、挨拶の度に意識をし、印象が変わったと言われたことで、他者から評価されたと実感したので継続していきたい。
自粛期間中は、体の仕組みにフォーカスした勉強をしたことで、投げる飛距離が伸びた実感がある。周りのみんなにも言われたことで、インプットしたことが自分で消化できて、実践ができているのだと思った。自分がチームの守りの要であるため、1番信頼できる相方の唐沢ピッチャーはもちろん、野手のみんなと日頃からコミュニケ―ションを取り、全体に目を光らせることを意識している。
全面人工芝にリニューアルした硬式野球部のグラウンド。鮮やかなグラウンドで選手たちが躍動していました。